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新刊『スバル360開発物語』刊行までの経緯をお伝えします!

新刊『スバル360開発物語』が発売になりました。その刊行までの経緯を編集部よりお伝えいたします。

 本書の元本は、1987年(昭和62年)12月に刊行された『てんとう虫が走った日 スバル360開発物語』です。この本は、スバル360の開発を担当した技術者や関係者を桂木洋二氏が取材し、執筆したドキュメントですが、当時はこのような自動車の開発経過を扱った書籍は皆無に近い存在でした。刊行後はファンからの支持をいただき、再版を続ける中でNHKの「プロジェクトX」をはじめ、テレビやラジオなどの番組製作にも影響を与えました。また、いくつもの雑誌でスバル360に関する開発話や、開発責任者の百瀬晋六氏のことが紹介されるなど、この分野における書籍の嚆矢となりました。その後、ロングセラーとなったこの本は、1995年(平成7年)には新装版が再刊されましたが、数年後に品切れになり、そのままの状態となっていました。
 近年、優れた製品を生む日本の"モノ作り"に関して、様々な媒体で取り上げられることが多くなり、あらためて過去の優れた製品・業績について振り返る機会が増えてきています。名車として自動車ファンの記憶に残るスバル360は、事実上、創業時の富士重工業を支え、また同社の発展には大きく寄与してきたクルマです。そうした意味でもこのクルマは、後世に語り継ぐべき国産自動車の一台であると考えます。今回、誕生から50年以上経過したこのスバル360を御存知ない方にも再認識していただきたいという想いも含め、品切れていた本書の再刊を決定いたしました。
 再刊にあたっては、『富士重工業50年史1953?2003』や『先覚者 百瀬晋六 人と業績』など、本書の刊行当時にはなかった資料を加え、本文の適切な箇所に収録することで増補新訂版としています。巻頭部分に収録した図面とクレイモデルは近年発見されたものです。本書によって、スバル360が日本初の"軽自動車の国民車"として、いかに生み出されたのかを、その時代背景も含めて当時の技術者が挑んだ開発の経緯を知っていただければ幸いです。

責任編集 小林謙一

『スバル360開発物語』紹介ページはこちら
http://www.grandprix-book.jp/books/2015/04/360.html

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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