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フレンチブルーミーティング、フランス車の祭典



10月19日に長野県の車山高原で開催された、恒例のフレンチブルーミーティングで、少し写真を撮ってきたので、ご紹介します。


28回目の開催となる今年は、このうえないほどの天気に恵まれました。

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手前の青いクルマはシトロエン・ディアーヌで、2CV兄弟車のなかでも今やとくに日本では珍しい存在。イベントはこういうクルマに出会える楽しさがあります。ただ、この写真などは絵に書いたようにいかにもフランス的な一角になっていますが、フランス車であればなんでも集まってくるのが、このイベントのおもしろいところで、自由で開放的です。

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車山高原は、紅葉まっ盛りでした。これはメイン会場の駐車場で、ほかにも駐車場は何面も用意されて、それぞれフランス車で埋まっています。最も多いときは3000台ぐらい集まったそうですが、今年もとにかくたくさんのフランス車、でした。

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ここはビーナスラインに比較的近い駐車場。一見ふつうの駐車場ですが、よく見るとほとんどがフランス車。"ふつうのフランス車"が多いので、まさにふつうのフランスの風景のような感じです。ただ実際のフランスよりはもっとクルマがきれいで、フランスはむしろこれよりフランス車率がもうちょっと低いかもしれません。手前のプジョー205GTIだけが古参でちょっと目立っています。

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今年のテーマとして、50周年を記念したルノーR8ゴルディーニが並ぶさまは壮観でした。この青はサッカーと同様、昔のフランス・レーシングカーのナショナルカラーですが、文字どおりフレンチブルー。R8ゴルディーニは、日本人にとっての"スカG"か"GT-R"と同じような存在というイメージで、フランス人にとってちょっとウェットかつ熱い、思い出のクルマという感じがあるようです。

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アルピーヌA110と並んだルノー・スポール・スピダー。こうして見ると、アルピーヌA110と、フロントマスクなどが意外に似ている気もします。1990年代後半に生まれたスピダーは、アルピーヌをルーツにもつルノー・スポールが一般市場に名前を売り出した最初のクルマでした。

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これもルノーの5アルピーヌ・ターボ。なつかしいクルマです。5アルピーヌはFFホットハッチの先がけです(その先人というべきミニ・クーパーはFFでも、"ハッチ"はなかった)。当時の雑誌では、高出力のターボ仕様ではじゃじゃ馬と書かれていたような記憶がありますが、初期のFFなので、かなり大変だったかと思います。このボディでエンジンは4気筒が縦置きですからあっぱれです。しかし目立つのは、当時珍しかった樹脂製バンパー部分が巨大だったことです。

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戦後のルノーのスポーツ車の元祖。アルピーヌA106。これが発展してA110になり、ルマンカーになり、現代のルノーF1にもなったともいえるわけで、戦後のフランススポーツ界にとって歴史的クルマといえそうです。

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ルノー4(キャトル)の一団。2CVのライバルですが、4もこの地において一大勢力を保っているようです。

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4の集まりのところに1台違うクルマが。クリフカットのルーフと昆虫顔がエキゾチックなアミ6は見事なコンディションでした。その奥に並ぶ4の食パンのようなルーフは、バンボディの4フルゴネット。ビバンダムのマスコットは、よく大型トラックが付けているのを映画などで見ることがあります。昔イタリアのガソリンスタンドで、リビルト品と思しきマスコットをワゴンで安く売っていたので、1個買いました。

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8ゴルディーニと供に40周年ということで、テーマとなっていたシトロエンCX。たいへんモダンで優雅です。手前にエッフェル塔が置かれていますが‥。

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CITROENと書かれた電飾は、昔実際にあった有名なエッフェル塔広告を再現したもののようです。よく見るとここにもビバンダムのマスコットが付いています。大阪の通天閣は、その昔は凱旋門の上にエッフェル塔を載せた形だったようですが、なんとなくそれを思い出しました。

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さりげなく1台駐車されていたトラクシオンアヴァン。シンプルでもよい形をしています。車高の低い感じが当時の乗用車としては際立っていたようです。モノコックボディ、前輪駆動などなどの技術革新のオンパレードの希有なクルマでした。

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シトロエンDSはエキゾチックのかたまりですが、とくに後期型のフロントマスクは印象的です。

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DSの名を復活させた最新のDS3は、かつてのその後期型DSのマスクを意識したライト形状だといわれます。ちなみに左側の茶色いDSはライトカバーがないようです。この写真では、DS3は広角レンズの歪みのために、手で握ったおにぎりのように丸みがありますが、これはこれでなかなかチャーミングです。

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今回会場には、多数の2CVに混じって、アミが散見されました。アミは、近年新しく輸入されるクルマもあるそうです。DSほどのスターではないですが、やはりエキゾチックです。

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イベントの6日後の10月25日に発売された、シトロエンの新型C4ピカソも展示されていました。右がグランC4ピカソで、左がショートバージョンのC4ピカソ。顔が斬新だという声が多いですが、無用に押し出しが強い顔ではないので、意外にスマートにも感じます。これはまだ朝の準備中のときで、テールゲートを開けて満載の荷物を出しているところでした。

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陶器のグッズを並べたカングーの出店がありました。左手前の傘立ては、ウィットが利いたデザインです。

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大小のクルマの置物もいろいろありましたが、味がある造形です。ルーテシアやキャプチャーなど、比較的新しいルノー車が多く揃っているようでした。「陶のクルマ」が屋号とのことで、信楽焼なのだそうです(狸の置物で有名な焼き物)。

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会場では、2CVのハイレベルな仮装のクルマも見かけました。

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メイン会場の特設コースでは、恒例のジムカーナや、2CVのクランク掛け競争も行なわれ、盛り上がっていました。

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今年で28回目で、今もこれだけの盛り上がりというのは、希有なことかと思います。この看板プレートもイラストが楽しく、フランス好きでフランス車好きというと、見ていてはまるものがあるようです。


(レポート・写真:武田 隆)


リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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