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日産 デイズ ・ルークス

日産が、三菱との合弁会社NMKVで開発した軽自動車の第2弾がデイズ・ルークスですが、少し前になりますが、その発表会の様子を報告します。


日産のデイズ・ルークス(DAYZ ROOX)は、三菱の「eK スペース」と同じ2月13日に発売されました。eKのほうで試乗の報告をしたので、こちらは同日の横浜グローバル本社ギャラリーでの発表会の様子などを報告します。
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発表会場には、こんなものが置かれていました。一瞬BS放送(WOWOW)や美術館(MOMA)とコラボレーションしているのか、などと思いましたが、そうではなく‥‥。
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MOMをWOW!にする軽、というキャッチフレーズでした。垂れ幕にいろいろと書かれています。
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発表会では"MOM"が壇上に並びました‥‥。
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デイズ・ルークスの、こちらは標準モデルです。第1弾のデイズの場合と同様で、基本的にはフロントまわりのデザイン以外は、三菱版の「eKスペース」と共通です。日産の場合、標準モデルのグリルは、デイズとは少し異なり、ミニバンタイプ車によくある、横線メッキグリルになりました。車高が高く、ミニバンにより近いということなのかもしれません。
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デイズのグリルが日産らしいと思っていたので、デザイナーの方に話を聞いたところ、デイズ・ルクースでは、日産らしさの表現は、3本のスリットのさらに下の、バンパーパネルに沿って左右いっぱいに広がるバーにある、とのことでした。日産らしさの理解として、スマートなこと、というのがあって、車体の幅を広く感じさせたい意図があるそうです。軽自動車というと、ほんわかしているデザインの車種もあるが、日産らしさというのは、やはりスマートなことだということです。おそらく聞き方の問題で、解釈はケースバイケースなのだとも思いますが、なるほどと思った次第です。
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ちなみにデイズはこれです。わかりにくいですが、装飾的なグリルパターンの下に、メッキのラインがたしかに入っています。ここが共通する部分とのことです。ただ、あとでよくよく観察すると、今の日産車のグリルには、この意匠が入るものが多いようです。実際に路上でデイズを見ると角度によってこの線はけっこう目立ちます。
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ついでにこれも。現行のモコ。グリルパターンはデイズと似ています。ただ、上記のメッキラインはありません。モコはスズキからのOEMです。NMKVの設立後も供給が続いているのは、ちょっと意外でもあります。
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こちらはデイズ・ルークスのハイウェイスター。こちらの場合は、デイズ・ハイウェイスターと似たグリルです。ミニバン的モデルにおいて世の中に多数あるメッキの横線グリルではありますが、ゆるやかに曲面になっていてなかなかスマートには見えます。軽自動車も各車各様に工夫しているようです。ちなみにデイズと違って、フェンダーパネル部分(バンパーとフロントドアの間のパネル)は、標準もハイウェイスターも共通だそうです。バンパーとボンネットは異なります。
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室内は、三菱のeKと共通です。ステアリングは、日産のマークが入ります。このクルマは標準車の「S」と呼ばれるベーシックモデルで、センターコンソール部がダイヤル式になっており、エアコンはマニュアル式になります。操作しやすそうに思えます。
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eKも共通ですが、天井に後席用の送風口が設けられています。子連れ狼の乳母車のように、チャイルドシートの風車が回っていました。
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送風ファンの装置部分。エアコンだとダクトをとおす必要があり大変なので、送風のみの機能です。ただ、軽自動車のエアコンのファンは強力でないので、これだけ"部屋"が広くなってくると、こういうファンの追加は効果ありのようです。まさに天井スペースの有効活用ですが、旅客機か観光バスの雰囲気です。
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ハイウェイスターのリアビュー。ナンバープレートの上側パネルがメッキになっています。
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こちらは標準モデル。今回のこのボディは、サイドとリアのウィンドウ下端が低く、ウェストラインがCピラーから後でキックしています。日産サイドの説明としては、セレナと共通のデザインとのことです。また、サイドのキャラクターラインも、先ほどのフロントグリル同様に、日産らしさを感じさせる部分だそうです。この角度などから見ると、このウィンドウ下端のキックしたラインは、ちょっとデザイン性を感じます。このラインは、フロントAピラー部分でもキックというか、段差がついて一段上がっています。
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横から見るとこうなっています。ピラーがすべてブラックに塗られ、資料を見ると、室内の広さを感じられるように「グラスラウンドキャビン」を採用、とのことです。
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これでひとつ思いあたるのは、シトロエンXMです。XMはベルトーネのデザインで、シトロエン特有の宇宙船のような前衛的雰囲気がありましたが、とくにウェストラインがキックしている上に、「グラスラウンドキャビン」のごときガラス張り風のキャビン上屋が特徴でした。ブラックの多数のピラーがあるところなど、似た感じです。
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軽自動車の競合は目下激しく、どのクルマもレベルが高いといわれますが、日産と三菱の、2社分の集中力が発揮されたこのモデルは、やはりなかなかの出来映えと思った次第です。
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(レポート・写真:武田 隆)
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リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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