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第34回JAIA輸入車試乗会(フォード・フィエスタ)

2月はじめに大磯プリンスホテルを拠点に、JAIA(日本自動車輸入組合)主催のメディア向け試乗会が行なわれました。そこで乗ったクルマについて報告します。今回はフォード・フィエスタについてです。

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新型フィエスタ。2014年2月1日に日本導入されたばかりのモデルです。フロントビューはスマートで、ノーズ部分はアストン・マーティン風ですが、最新のフォードの顔です。
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後から、間近で見ると、けっこうボリューム感があります。ただたとえば全高は1475mmと、けっして高くありません。シャシーは開発当時提携関係にあったマツダの現行デミオと共通で、ホイールベースも同じ2495mmです。
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風船をふくらませたような感じや、モノフォルム形状であるところなど、ホンダのフィットなどに近い感じをうけます。先代フィエスタのオーソドックスな2ボックス形状からは大変身です。現行ボディの世界初登場は2008年で、オバマ大統領が初当選した頃に、フェエスタが久々にアメリカ市場に導入される、と話題になっていました。ただ今回日本導入されたこのフロントマスクは、2012年9月に大きく改変されてからのものです。

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乗り込んで走ると、かなりの実力派という感じをうけました。3気筒の1リッター直噴ターボEcoBoostエンジンは、十分なトルクがあり、回しても気持ちがよいものでした。これに乗る前に、車高の高いクロスオーバー的モデルの試乗が続いていたせいもあり、通常の乗用車の車高で、きびきび走るコンパクトカーということで、スポーティーな印象が目立ちました。
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昔ヨーロッパでレンタカーを借りたらフィエスタが来たのでがっかりした、という思い出があります。約20年前のことですが、せっかく外国で乗るのにエキゾチックさがなく、感動がなかったというわけです。欧州フォードはその後デザイン面やシャシー設計に意欲を注いで、高く評価されています。今回乗った最新フィエスタは、ボディがしっかりしているのも印象的で、全体に上質感があり、時代相応の進化かもしれませんが、感慨深いものがありました。
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近年のフォードのコクピット・デザインは、いわゆるガンダム的ともいえる近未来的な調子があり、同じヨーロッパでもたとえばフォルクスワーゲンのようなシックでモダンなものより、若々しい感じです。
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ダッシュのセンター付近の造形など、宇宙船のコクピットのごとくです。機能的にもデジタルオーディオプレーヤーやスマートフォンとの接続を重視しているようで、その意味では機能にマッチしたデザインなのかもしれません。ただ乗ってすぐに扱うにはスイッチ類がたくさんありすぎで、短時間試乗の今回はまったくタッチせずでした。フィエスタでなくフォーカスだったかもしれませんが、間違ってどこかのスイッチを押したら、英語でいろいろと話しかけてくるということがありました‥‥。
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メーターパネル。ライトブルーの色合いが明るく、渋みやエレガントさを演出するブランドも多くあるなかで、フォード・ブランドらしさの部分であるのかもしれません。
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これはダッシュパネル上面の部分。ソフトパッドで、シボはこのような感じです。助手席正面とメーターナセル上面はこの素材です。
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1976年登場の初代と、先代のフィエスタ。初代はFF小型ハッチバックの初期の秀作で、当時日本メーカーが、こぞってこれを研究したといわれます。当時の欧州フォードにとって鳴りもの入りの新世代小型車で、現代のT型フォード、などと言う向きもありました。このサイズのクルマが今やアメリカ市場にも導入されているわけで、時代の流れを感じさせます。この初代フィエスタのあと、アメリカへも軽量なFF車を導入するかをめぐって、有名なアイアコッカVSフォード2世の対決劇が起こりました。
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(レポート・写真:武田 隆)

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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