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第24回 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル

今年で24回目となる、「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル」が、愛知県の「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」で開催され、参加した約110台のクラシックカーによるパレードなどが行なわれました。


(5月26日・愛知県長久手市 「愛・地球博記念公園」)


トヨタ博物館のフェスティバルは、今では東京の神宮外苑でも、毎年秋に行なわれますが、博物館のある長久手では、春に行なわれ、今年で24回目となります。


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スタート会場の駐車場に、参加者のクルマが集まっています。クラシックカーといっても、いわゆる名車ばかりではなく、庶民に親しまれた大衆車も多く、なつかしい雰囲気を醸し出していました。中にはいわゆる「軽トラ」も見られました(1983年型ダイハツ・ハイゼット)。昔の商用車との出会いは、ある意味乗用車以上に、心に響くものがあるようです。


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パレードの先頭車が、スタートしていきます。先頭車は、博物館所有の、初代クラウンの1960年型。パレードは、長久手の市内を約14km走行し、所用時間は40〜50分とのことです。


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パレード参加車両は、一般のオーナー所有のクルマですが、今回最も古く、ゼッケン1番をつけていたのは、1923年型のタトラ11でした。当時のチェコスロヴァキア製のクルマで、フォルクスワーゲンやシトロエン2CVの先輩格にあたる、先進的設計の小型車です。ユニークな設計ですが、改良型のタトラ12と合わせて、約1万台もつくられた、立派な量産車です。写真で、クランク軸の高さで、両サイドに翼のように突き出して見えるのは、空冷水平対向2気筒エンジンのシリンダーです。


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パレードは、国別、メーカー別に進んでゆきます。これはイギリスの「MG J2」(1932年型)。オープンボディのクルマでは、乗っている人の装束も、パレードの華となるようでした。


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1966年型のジャガーEタイプ。ジャガーといったらこれ、でしょうか。これ見よがしの長いノーズが、アピールポイントです。観客は、とくにクルマ好きでない人も多いようですが、いろいろな形のクルマが走るのを見るだけでも、やはり楽しいものです。


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日本車以外では、イギリス車に次いでドイツ車が多いようでした。参加車両は、なるべく偏らないように、選ばれているようで、博物館の方の話によると、参加応募の車種が重複したりした場合、初参加のクルマを優先したいという考えがあるそうです。これはメルセデス・ベンツ250SEクーペ(1968年型)。かつては日本でも、このような「タテ目のベンツ」が多く走っていました。


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庶民的に親しめるクルマが多い印象ですが、(大人や)子供に大人気のスーパーカーも参加。これは、極めつけの存在のフェラーリBBですが、512BBiなので、1983年型です。参加資格は、30年以上前のクルマという規定なので、今年は新たに1983年型が参加可能になっています。


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先頭はアルピーヌ・ルノーA310(1974)、その後ろにシトロエンDS21(1970)、シトロエンSM(1973)と続いています。フランス生まれのエキゾチックな佇まいの一群でした。


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1963年型のシボレー・コルベア。リアエンジンで有名なクルマで、これはそのオープンボディのものです。アメリカ車は大きいので、このクルマは当時彼の地で「コンパクト」と呼ばれていた存在ながら、余裕の笑顔で4人が乗れてしまいます。


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1967年型のトヨタ・クラウンエイト。2代目クラウンの幅を広げたボディは、全幅は約1850mmもあり、現代のクルマと比べても遜色ありません。当時公用車としてパレード時に使われたりしたのを再現したのか、ノーズに日の丸の旗を掲げていました。


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ニッサン・セドリック・エステートワゴン(1965年型)です。このセドリックはセダンが6人乗りで、ワゴンの場合、最後部に後ろ向きにシートが加わるので8人乗りだったようです。パレードでは、よく見ると、車内が、なにやらにぎわっているクルマも多いようでした。


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1982年型のニッサン・フェアレディZ。スタートのときに花束を渡されて、途中で沿道の人がそれを受け取っていました。


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三菱ギャラン・ラムダは1979年型です。もう時代がだいぶ新しいという感じのデザインですが、今や路上で見ることはまずなくなりました。この時代のクルマが、意外に新鮮に見えます。


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ダイハツ・フェローMAX 2ドアハードトップ(1972年型)。ドアには「ダイハツ・フェローMAXは、日本の軽自動車で初のピラーレスハードトップ車です」と書かれていました。


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スバル360。ごく初期のボディのようですが、1962年型で、屋根が開くタイプです。赤い三角の「スバル360」と書かれた旗を付けています。


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会場では、さすがにメーカーのお膝元だけあって、話題の「ピンクのクラウン」も展示されていて、パレードでも走行していました。こういった「ハレの日」では、まさに本領発揮といった感じに見えました。


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歴代クラウンが並んでいます。1955年登場の初代クラウンは、今回写真の手前のクルマのほかに、もう1台、合計2台の輸出用左ハンドル仕様が参加していました。


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当日は、好天に恵まれましたが、会場には、トヨタの豊田章男社長も来場したようでした。会場の「愛・地球博記念公園」からは、浮上式リニアモーターカーの、リニモに乗って、2駅で、トヨタ博物館へ行くこともできます。庶民が親しんできたクルマの参加も多いためか、見に来た人達も、自然体でイベントを楽しんでいる様子でした。日本人がクルマを思う心、というようなものを、こういったイベントによって確認することができるのかもしれません。


(レポート・写真:武田 隆)

リポーターについて

武田 隆(たけだ・たかし)

1966年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科中退。出版社アルバイトなどを経て、自動車を主体にしたフリーライターとして活動。モンテカルロラリーなどの国内外モータースポーツを多く取材し、「自動車アーカイヴ・シリーズ」(二玄社)の「80年代フランス車篇」などの本文執筆も担当した。現在は世界のクルマの文明史、技術史、デザイン史を主要なテーマにしている。著書に『水平対向エンジン車の系譜』 『世界と日本のFF車の歴史』『フォルクスワーゲン ゴルフ そのルーツと変遷』『シトロエンの一世紀 革新性の追求』(いずれもグランプリ出版)がある。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。

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